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「商品の説明を的確にお客に伝えたい!」それには専門用語をなるべく使わないこと

by Mitsuhiro Minami on Sep 8, 2017 8:00:00 AM


photo by BAMCorp


日々売り場に立っていたり、ウェブ上での消費者の意見を読んでいたりすると、我々、ファッション業界人が思っているよりも、一般消費者は衣料品や生地に関する知識を持っていないことを痛感します。もしかすると、業界やブランド、店が伝えたいことの半分も消費者には伝わっていないかもしれませんよ。

「"スラックス"とは何ですか?」
「スボン」に多数の呼び名があることは一般消費者にとってわかりにくい

先日、ある有名なファッションブロガーさんのブログを読んでいたら、そのブロガーさんのメルマガ読者からの質問が紹介されていました。その質問とは「スラックスとは何ですか?」というもので、これを読んだときに非常に驚いてしまいました。ファッションブロガーのメルマガを購読するということは、ファッションに対して興味も知識も少なからず持っている人と言えます。にもかかわらず、スラックスという名称さえ知らないということに驚いてしまいました。

一つのアイテムに様々な呼び名があるのは、アパレル・ファッション業界では常識ですが、一般消費者からすると「わかりにくい」ことの原因ともなっています。通常、老若男女広く理解できる呼び名は「ズボン」でしょう。しかし、最近では、「パンツ」と呼ぶケースが増えてきましたが、これは肌着のパンツとも混同しやすく、聞き分けるには文脈から判断するほかありません。また英語ではトラウザーと呼び、それを基準としてそのままトラウザーと呼ぶこともあります。

またデザインによっても呼び名がわかれており、ジーンズと同じ形をしたズボンを通常はファイブポケットパンツと呼びます。逆説的ですが、ファイブポケットパンツの中で、デニム生地で作られているものをジーンズと呼ぶとも言えます。今回話題となった「スラックス」はスーツのズボンのような形をした商品を指します。ジーンズとは明らかに形が違いますよね? 服飾の常識ではファイブポケットパンツよりもスラックスの方がフォーマルでドレッシーだとされています。

スラックスという名称そのものは、衣料品業界ではポピュラーでわからない人は、よほどの新人さんを除いてほとんどいないでしょう。ですから、売り場でも気軽に「カジュアルなTシャツにはスラックスを合わせると少し大人っぽい感じになりますよ」なんて接客トークをしますが、もしかすると、何割かのお客にはこの「スラックス」という言葉の意味が理解されていない可能性があります。

 

生地の名前はさらに分かりにくい

このほかでも、業界では普通に使われる用語をお客が知らないということは多分にあります。また生地についても同様です。デニムとダンガリーとシャンブレー(全部生地の名称)の区別がつかないお客はたくさんいます。業界人ですら区別できない人も珍しくありません。

手短に説明しますね。

まず、デニムですが、経糸(たていと)に紺または黒の色糸を、緯糸に白を使った綾織の生地です。経糸2本または3本に対して緯糸1本という割合で織られています。

次にダンガリーです。デニムと見分けはほとんどつきませんが、違いはあります。同じ綾織ですが、経糸が白で緯糸が色糸なのです。ちょうどデニムと逆です。しかし、結果的にはデニムと同じ見え方になります。

最後にシャンブレーですが、これは織り方からしてデニム・ダンガリーとは異なり、経糸1本に対して緯糸1本という平織りの生地です。経糸か緯糸どちらかに色糸を使い、もう一方を白にします。織りあがった生地は少しくすんでグレイっぽく見えます。見た目もデニム・ダンガリーとは明らかに異なりますが、似た雰囲気はあるのでそれで混同されてしまうことが多いのです。

業界人ですら区別のつかない人がいるのに、一般消費者ならなおさら区別できなくても当たり前です。

 

ファッション雑誌やウェブ通販の商品説明は伝わっているか?

またファッション雑誌やウェブ通販ではこんな商品説明が横行しています。

 「凸凹した独特のスラブ感のある生地。ヴィンテージな雰囲気を醸し出します」
 「ふっくら柔らかな肌触りの綿100%ファブリック」

これを読んで意味がすんなり分かる人はどれだけいるでしょうか? 販売員や商品企画担当者は「当たり前」だと思うかもしれませんが、日本語としても全体的には相当な怪しさを醸し出しています。

「スラブ」ってなんですか? 説明できますか? ロシアや東欧に多いスラブ人とは意味が異なりますよ。

またファブリックって何ですか?どうして「生地」という日本語を使わないのですか?

 

なるべく平易な言葉で表現することを心がけよう

こんな感じで、業界人が「良い」と思う、「かっこいい」と思っている商品の説明は業界外の人からするとほとんど理解不能なのです。もしかしたらその言葉を使っている業界人自体も言葉の意味を理解していないのかもしれません。そのことが消費者からさらに「ファッションはわかりにくい」「ファッションは難しい」と思われ、衣料品が売れにくくなってしまっているのではないでしょうか。

自分もついつい専門用語を使って記事を書いてしまうことがあります。もちろん、専門用語を使わなくて説明できないこともありますが、これでも、それ以外はなるべく専門用語を使わないことを心がけています。

必要不可欠な専門用語以外は、なるべく平易な言葉で表現することを心がけてみてはどうでしょうか?店頭に来るお客様の中には「スラックス」の意味さえ分からない人も少なからずいることを頭の片隅に置いておくのが良いと思います。

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Categories: 顧客ロイヤルティ

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