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「良い物は高くても売れる」は真実か? 〜消費者が「欲しい物」と「買える物」を切り分けて考えよう

by Mitsuhiro Minami on Mar 14, 2017 9:00:00 AM

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photo by *humanstatuebodyart*


「良い物は高くても売れる」

 こう考えている人は、衣料品業界に限らず我が国には多くいます。家電メーカーも自動車メーカーもこう考えている人は多くいると思います。

しかし、果たしてそうでしょうか? 多くの製造加工業者が「価格」の問題で苦戦を強いられていますし、衣料品・ファッション業界においては、製造加工業者が自立化のために自主企画商品を開発することが増えています。しかし、「良い物なら高くても売れる」という間違った考えから超高額品を生み出してしまい、結局売れないということが珍しくありません。

相場感をはずれた高額商品は売れない

物の価格にはそれぞれ「相場感」というものがあります。例えば、洋服でいえば1枚1000円は低価格でしょうし、1枚20万円は超高価格です。一方、食料品、例えば6個パック入りの卵が1000円ならかなり高いでしょうし、キャベツ一玉が500円を越えたら高額だということになるでしょう。いくら美味しいからといっても1パック1000円の卵や1玉1000円のキャベツはそんなにたくさんは売れませんし、日常的に買う人もそれほど多くないでしょう。

洋服や服飾雑貨も同じです。いくら物が良くても高額すぎれば売れにくくなります。製造加工業者からは「プラダやグッチ、エルメスなどのラグジュアリーブランドは超高額でも売れ続けているじゃないか」と反論の声が聞こえてきそうですが、それは彼らに「ブランド力」があるからです。

同じ高級材料を使えば、エルメスと同じ価格で売れるか?

この「ブランド力」は一朝一夕に作れません。多大なる広報・宣伝・販促活動が必要になりますし、歴史も必要になります。エルメスの ケリーバッグが60万円で売れるからといって、町のバッグ工場がケリーバッグと同じ材料を使ってオリジナルバッグを作っても60万円では絶対に売れませ ん。なぜなら、広報・宣伝・販促活動の活発さが段違いである上に、ブランドのステイタス性もくらべものになりません。またブランドの歴史の長さもまったく 違います。

3万円くらいならこのバッグは売れるかもしれませんが、エルメスと同じ価格では絶対に売れません

高額商品のヒット・完売は非常に珍しい

よく勘違いされる方が多いのですが、

 ① 欲しい・欲しくない、という動機に対する解決策と、
 ② 買える・買えない、という条件に対する解決策と、

 はまったく別物です。

欲しい・欲しくないという動機に対する解決策は、機能性の充実だったり、便利さだったり、デザイン・色・柄の工夫だったり、で解決することができます。その商品がホットトレンドだということも「欲しい」という動機になるでしょう。

一方、買える・買えないという条件に対する解決策は、価格帯、値段設定の問題です。いくらかっこよくて機能性が高い商品でも、その人の収入が低かったり、 金が少なかったりすると、その商品は買えません。カードの分割支払いや月賦などという支払い方法もありますが、あまりに多用すると却ってその人の家計を破綻させてしまいます。

今回はメーカーを例に出して話を進めていますが、小売店でも同じです。ときどき「〇〇万円する洋服が完売」なんていうニュースが報道されることがあります。洋服はデフレ傾向が続いており、高額商品が完売すること自体が珍しい状況なのです。そのため、ニュースになりやすいのです。いつもと同じ事柄ではニュースになりません。ニュースになるということは「常態と異なる」場合に限られるのです。

 

マスに向けた「高額品の強化」が難しい理由

ところが、大手のチェーン店の社長はこういう報道を真に受けて「高額品を強化する」なんてことを言いだすことがあります。しかし、自店の顧客層にはその価格帯の商品を買える人が何人いるのでしょうか? 冷静に考えてみたことはありますか?

1着何万円もする洋服を毎シーズン買える人は収入の多い人がほとんどです。では日本には富裕層と呼ばれる人たちがどれくらいいるのでしょうか?

2016年12月に掲載された記事によると、クレディ・スイスの「グローバルウェルスレポート2016」というレポートには、日本の富裕層人口(100万ドル以上の資産を持つ人)は282万6000人だと発表されているそうです。

http://media.yucasee.jp/posts/index/15158

これは世界第2位の富裕層人口だそうで、みなさんの予想よりも多いのではないでしょうか?しかし、多いとは言っても283万人弱しか富裕層人口はいませ ん。これに次ぐ層はもう少し人口が多いと考えられますが、両方の人口を合計しても最大でも1000万人くらいしかいないということになります。製造加工業者や職人がいうような「金に糸目をつけない」買い方のできる人は国内には最大でも1000万人くらいしか存在しないということになります。

その1000万人を欧米のラグジュアリーブランドや国内の有名高級ブランドと奪い合うわけですから各ブランドや各ショップが獲得できる富裕客の人数なんていうのはかなり少なくなります。しかもその場合の競合相手は、エルメスやグッチなどの世界的知名度があるラグジュアリーブランドになります。毎年、販促・宣伝・ PRの巨額の資金を投入しているそれらに勝つことは容易ではありません。

超高額品を販売したい場合は、少数の富裕客を狙った場合はそれなりの成算がありますが、マスに向けて高額品を販売することはかなり難しいということを認識すべきでしょう。

 

「欲しい物」と「買える物」は切り分けて考えよう

激安品と価格競争をしろと言っているわけではありません。ある程度の数量を販売したいのであれば、中間層でも買えるような価格設定にするほかありません。

消費者が「欲しい物」と「買える物」をごっちゃにしたまま、商品を製造販売してきたことが今の洋服不振の一因となっていると考えられます。その価格設定で買える能力のある消費者がどれだけの数存在するのかということを冷静に見極めながら、メーカーも小売店も価格設定をすべきではないでしょうか。


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Categories: 顧客ロイヤルティ

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